<イラク遺跡>多国籍軍駐留で被害 ユネスコで報告
現在ユネスコ世界遺産センターのウェブサイトでは、戦火にさらされているイラクの文化財について特集記事を組んでおり、2000年に提出された暫定リスト記載物件に関する情報が公開されています。(暫定リストとは、その国が近い将来世界遺産に登録しようとしている物件の一覧表で、いわば公式の世界遺産候補)。
東南アジア考古学会の声明http://www.jssaa.jp/about/statement_J.html
イラクにおける博物館、考古学遺跡、文化財の破壊に対する緊急声明
東南アジア考古学会は、戦争によって文化財の被害を受けた経験のある東南アジアを研究対象とする立場から、イラク戦争の結果ひきおこされたイラク国内における博物館と考古学遺跡の破壊と収蔵文化財の盗難に対し、強く抗議する。また、東南アジア考古学会は、イラク国内の博物館と考古学遺跡に収蔵されたかけがえのない文化財の保護のために、あらゆる方策がとられることを強く願うものである。
そのため、東南アジア考古学会は以下のことを要望する。
1. 国連、ユネスコがイラク国内文化財の保護のために中心的役割を果たすこと
2. 日本国政府がイラクの文化財保護に対して積極的な支援をおこなうこと。また、略奪された文化財の日本国内への流入を禁止すること
3. イラク国内の軍、警察等がイラク国内の博物館、考古学遺跡、文化財の保護にこれまで以上に関与すること
4. イラク国内の軍、警察等がイラクの文化財行政を担当してきた文化省、考古局の主要人物に対して支援を与えること。東南アジア考古学会会長 新田栄治
2003年5月3日記事:<イラク遺跡>多国籍軍駐留で被害 ユネスコで報告
【パリ福島良典】考古学上、貴重なイラクの遺跡が多国籍軍の駐留で被害を受けていることが分かった。国連教育科学文化機関(ユネスコ、本部・パリ)で22~24日に開かれた「イラク文化遺産保護国際調整委員会」の第2回会合に出席したイラク国立博物館のドニー・ジョージ館長らが明らかにした。一方、遺跡から盗み出された文化財は海外に高額で売却され、武装勢力の資金源になっているという。メソポタミア文明発祥の地で、文化遺産が多国籍軍と武装勢力の衝突の「もう一つの犠牲者」になっている。
ジョージ館長によると、多国籍軍の駐留による被害が最も深刻なのは新バビロニア王国(紀元前7~6世紀)の遺跡があるイラク南部のバビロン。同館長は「米軍よりも、戦車を多用しているポーランド軍の影響が大きい。遺跡の土壌はもろく、戦車の通行で地下2~3メートルが破壊される」と指摘した。
バビロンについては今年初め、「多国籍軍が石畳を戦車で破壊し、遺跡の破片が混じった土砂で土のうを作った」と告発する報告書を大英博物館が発表。これに対し、バビロンを含む一帯を管轄するポーランド軍は遺跡内では戦車などを使っていないと反論している。
ユネスコの松浦晃一郎事務局長は22日、国際調整委員会開幕にあたり、「遺跡の上や周囲への駐屯地設営で取り返しのつかない被害が出る恐れがある」と指摘した。同委ではイラク側の要請を受けてバビロンの現況について集中討議した。
一方、イラク移行政府のラウィ文化相によると、遺跡盗掘・密輸は主に(1)イラク戦争前から存在していたギャング(2)旧フセイン政権によって戦争中に刑務所から釈放された犯罪者――などの仕業で、近隣諸国のグループから指示を受けて動いている場合があるという。
ジョージ館長は「売却資金が武装勢力に流れ、イラク警察や米軍を攻撃する武器・弾薬費用に充てられている」と明らかにした。同館長によると、遺跡から発掘された古代の粘土板1枚の取引価格はイラク国内では20~50ドルだが、米国に渡れば5万~10万ドルに跳ね上がるという。
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