非常に残念なニュースです。
大阪府池田市古江町1-75-76に所在する「古江古墳」が,NTTドコモ関西の工事により全壊したとのことです。古江古墳は,古墳時代の円墳で、径13m。立地は丘陵,現況は,山林・原野とのことです。行政側,業者側の問題もいろいろあるようですが,ニュースでは細かい責任所在が今のところあいまいな気が致します。開発面積が,小さいため重要視されなかったのか,大阪府教委が指摘する周知の遺跡であるとする,周知がどれだけなされていたか,残念です。 また,よくありがちな府池田土木事務所,市担当部署,の管轄外との意識も見え隠れします。
こうした行政の遺跡地図は,開発者や文化財担当者は周知していても,近隣に住む住人には,いったいどの範囲が周知の遺跡に指定されているか,説明も明示もまずされることはないのでしょう。この辺も問題のある点だと思います。文化財を保護するためには,行政サイドの文化財啓蒙活動も当然のことながら,もっと一般市民とともに,文化遺産を守っていく姿勢が欲しいものです。
なお,ドコモグループの掲げる倫理方針の第八条(環境への取り組み)「私たちは事業活動と地球環境の両立、さらには住み良い地球を実現するために、未来にわたる生活の場である地球環境を保全し持続可能な社会づくりに貢献します。」
破壊されたものは,もどりません。ドコモの言う単純ミスで遺跡が破壊されたのなら,単純ミスを起こさないシステムを,行政にも求めたい。山林などには,周知されていない円墳などは,まだまだ山ほどあることと思います。今回の責任の所在が明らかにされ,繰り返しおこなわないような仕組みを行政,企業ともに求めます。
・昭和49年頃の航空写真(この辺)
参考文献:「原始・古代の池田 」池田市立池田中学校地歴部編著,池田,池田市立池田中学校地歴部,1985年10月刊, 41頁 ; 26cm ,折り込図1枚 全国書誌番号86038189
携帯基地局新設で 「古江古墳」全壊
NTTドコモ関西(大阪市)が大阪府池田市古江町の山林で携帯電話基地局の鉄塔新設工事を始めたが、府の風致条例や文化財保護法に基づく届け出をしておらず、工事場所にあった「古江古墳」が全壊していたことが分かった。事態を重視した府教委は工事中断を命じ、近く緊急調査に入る。同社は「確認を怠って申し訳ない」と釈明しているが、地元住民は「貴重な古墳を台無しにした無届け工事は許されない」と原状回復を訴えている。 同古墳は直径約13メートル、高さ約1・2メートルの円墳。76年に池田市の埋蔵文化財分布調査で発見された。横穴式石室もあり、6世紀のものとみられるが、詳細な調査は未実施。 同社はこの用地で高さ約14・8メートルの鉄塔を計画。昨年9月、下請け業者が市や府池田土木事務所と打ち合わせをし、「環境保護と土砂災害防止のため、府風致条例と砂防法に基づく届け出が必要」との指摘を受けた。 ドコモ側は地権者から用地を借り、当時の地元自治会長の同意を得て、今年2月、砂防法の届け出を提出。しかし、風致条例の届け出をしないまま4月下旬に着工した。 5月下旬になって住民の指摘で無届けが判明。この用地が、文化財保護法に基づく届け出が必要な「周知の埋蔵文化財包蔵地」であることも初めて認識したという。届け出ると、工事前に文化財の調査を行い、保護するかどうか協議をする。 ドコモ側は工事を中断し、府と府教委に、風致条例と文化財保護法に基づく届け出を提出。しかし、古墳は既に大部分が掘り起こされ、コンクリートの基礎工事が行われ、側溝の一部が残るだけ。用地近くに住む主婦(58)は「緑豊かな市の遺産がめちゃくちゃ。早急にコンクリートを撤去し、植林して元の姿に戻してほしい」と訴えている。 府教委は「文化財の確認は業者が行うのが通常だ。ただ、事前の打ち合わせの時に行政側が指摘しなかったことは遺憾だ。古墳の詳細調査が行われていないため、原状回復も困難だ」と話し、緊急調査を実施後、工事続行を認めるかどうか判断するとしている。NTTドコモ関西広報宣伝部は「申し訳ない。今後、行政の指導に従いたい」と話している。
毎日新聞 2005年6月16日 大阪朝刊
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